自作パソコンの世界では、CPUクーラーは別に買うのが当たり前という雰囲気がありますよね。しかしギリギリまで安く作りたい場合、CPUクーラーに数千円もかけるのはしんどい。
私も1台目のパソコンを作ったときは「CPUクーラーにかける金はねぇ!」って感じでした。
でも自作パソコンをやっている人はだいたいデカイやつを使っているので、ホントに付属クーラーで大丈夫なのか心配になりますよね。この記事では、CPUにもともと付属しているクーラーのメリット・デメリットをくわしく解説します。
結論からいうと、最低限の性能でいいなら付属のCPUクーラーでもOKです。静かさや見た目にこだわりたい方は、おとなしく別売りのクーラーを買いましょう。
付属のクーラーだと少し不安……という方は、安くてCore i5やRyzen 5なら十分冷やせる「虎徹MarkⅢ」を買っておくと安心ですよ。2024年8月時点の各社最新ソケット「LGA1700」「AM5」に対応しているので、CPUがIntelでもAMDでも使えます。
あれ、大人気のDeepCoolのAK400じゃないの?
2024年8月現在、AK400は米国による制裁の影響で品薄になっており、値段がつり上がっているので虎徹MarkⅢのほうが安く買えるんです。虎徹MarkⅢのレビュー記事はこちら↓
付属CPUクーラーの利点
付属クーラーのメリットはこの5つ。
付属クーラーの利点5つ
- 付属品なので無料 ←これ重要
- 無料なのにPWM対応している
- 取り付けが簡単
- ほとんどのケースに取り付けられる
- 手を切りにくい
くわしく解説します。
付属品なので無料
付属クーラーはCPUを買うと付いてくるので、もちろん無料です。
これがいちばん大きいメリットですね。
「タダより高価いものはない」ともいいますが、ちゃんと使えるんですからもらって損はありません。
無料なのにPWM制御に対応している
けっこう見落とされがちですが、付属クーラーは無料なのにPWM(パルス変調)制御に対応しているんです。
ちょっ、「PWM」って何のこと?
PWMというのは、電圧を変えずにファンの回転数を変える制御方式です。
PWM(Pulse Width Modulation)とは、半導体を使った電力を制御する方式の1つです。オンとオフの繰り返しスイッチングを行い、出力される電力を制御します。
PWMとは | 東芝デバイス&ストレージ株式会社 | 日本
PWM制御に対応していると、
- CPUが熱い→ファンの回転を上げる
- CPUが冷えてきた→ファンの回転を下げる
という調節を勝手にやってくれるので、効率よくCPUを冷やせるんですね。
PWMがついていないファンはどんな感じなの?
ずっと最大回転数で回るのでめちゃくちゃうるさいです。
PWM制御非対応のファンでも、電圧制御で回転数を変えられる場合がありますが、細かい調整ができないのでやはり不便です。
取り付けが簡単
取り付けがそこそこ簡単なのも、付属クーラーのメリットです。
とくにIntelはプッシュピンを差し込むだけなので、少し力をいれれば誰でも取り付けられますよ。
外すのも簡単で、ただピンを90度ひねるだけ。
ほかのCPUクーラーは、取り外すときわざわざマザーボードをケースから出さないとダメですが、Intelの付属クーラーならマザーボードをケースに付けたまま取り外せるんです。(ケースにメンテナンスホールがあれば普通のCPUクーラーでもできます)
何か良いことがあるの?
CPUクーラーを楽に外せると、CPUグリスの塗り替えがカンタンになります。CPUグリスは定期的に塗り替えるほうがいいので、カンタンに塗り替えられると滅茶苦茶便利です。
いちいちマザーボードを外すとなると、グリス交換のハードルがかなり上がってしまいますからね……
AMDの付属クーラーは、マザーボードの裏側に「バックプレート」という板が必要なので、Intelより少し面倒です。
でも普通はバックプレートが取り付け済みなので、ネジを回すだけで脱着可能。Intelよりは時間がかかりますが、そこまで大変ではないと思います。
ほとんどのケースに取り付けられる
付属品のCPUクーラーは、コストカットのために最低限の性能しかありません。
でも性能がおさえられている代わりに、高さも控えめになるメリットがあります。
別売りのクーラーだと大型なものが多いので、小さめのPCには入らないことも。なのでCPUクーラーを購入するときは、しっかりサイズを確認するのが常識です。
その点、付属クーラーはコンパクトなのでほとんどのケースに取り付けられるんですよ!
手を切りにくい
案外ありがたいのが、付属クーラーは手を切りにくいことです。
クーラーで手を切るってどういうこと?
CPUクーラーの金属部分は薄いので、よく手を切ってしまうんです……
ふつうのサイドフロー(横向き)クーラーなら、だいたい金属の板がむき出しになっています。
どうしても取り付けるときに触れてしまうので、知らないうちに手が切れていることも多いんですよね。
付属クーラーならトップフロー(ファンが上向き)ですし、フィンの部分が小さくてカバーがついているので手を切りにくいです。
付属CPUクーラーの注意点
付属クーラーのイマイチなところは、こんな感じです。
付属クーラーの注意点
- 音が少しうるさい
- 無料なので性能が低め
- 付属のグリスが控えめに言ってクソ
- 外観がダサい
くわしく解説していきますね。
音が少しうるさい
付属クーラーはできるだけ安く作るために、ギリギリCPUを冷やせるラインまで性能を落としてあります。
なのでCPUがフル稼働すると、熱が大量発生して当然CPUクーラーのファンもフル稼働に。
するとファン独特の風切り音が聞こえてきます。ヘッドフォンをしているなら気にならないかもしれませんが……
別売りのCPUクーラーなら、低い回転数でしっかり冷やせるものが多いので、負荷をかけていてもわりと静かです。
無料なので性能が低め
しつこいようですが、付属クーラーはあくまで最低限の性能しかありません。
コストカットがわかりやすい部分が、放熱板です。
Intelの付属クーラーと、私が数年前に買った税込み645円の安物CPUクーラーを並べてみました。
Intelの付属クーラーのほうが放熱板(銀色のところ)が小さいですよね。
放熱板が大きいほうが効率よく熱を逃がせるので、やはり純正クーラーは性能が低めになっていることがわかります。
AMDの場合、もう少し放熱板が大きいので性能が高めですが、ものすごく変わるわけではありません。
付属のグリスが控えめに言ってクソ
IntelとAMDのどちらにも言えるんですけど、もともと付属しているグリスの性能がイマイチです。
よく「粘土グリス」と揶揄(やゆ)されるやつですねw
長く使っていると、固まってCPUクーラーを取るのが大変になるので、付属クーラーを使う前には必ず最初から付いているグリスをふき取って使うことをおすすめします。
ふき取ってからなにも塗らないと不具合の元になるため、忘れずに新しいグリスを塗っておきましょう。
グリスはコスパで選ぶなら、ARCTICの「MX4」がおすすめ。塗りやすくて性能がいいグリスなので、私も愛用しています。
外観がイマイチ(とくにIntel)
とくにIntelの付属クーラーは、外観があまりよろしくないです。
美的センスは人それぞれですので押し付けるつもりはありませんが、もしアンケートを取ったら半数以上が「ダサい」と答えそうな感じ。
これでも以前よりは改善されたんですが、この謎の青いリングと周りのプラスチックの飾りがなんともいえない残念感を出しています。
見えなかったらいいんですが、透明のケースにするとどうしても目についてしまいそうですよね。もし透明のケースにしたいなら、もっとかっこいいCPUクーラーを使ったほうが良いかもしれません。
ちなみに以前のリテールクーラーの外観はこちら。
さすがにダサすぎるぜ……
付属クーラーはこんな人にオススメ!
はっきり言って、付属クーラーは予算が少ない人向けですね。
最低限の能力しかないので、やはり別売りのCPUクーラーを使ったほうが満足度が上がると思います。
できるだけ低予算で組みたい
できるだけ低予算で組みたい場合、付属クーラーは強い味方です。
なにしろ無料なのでCPUクーラーには1円も払わなくて済む、というのはかなり大きいですね。
その予算をCPUやグラフィックボードに使うだけで、かなり性能アップできる可能性があります。
エンコードが必要な作業(動画・写真編集など)をあまりしない
エンコードが必要な作業をあまりしない方も、付属クーラーでOK。
エンコードが必要な作業は、主に動画編集や写真編集ですね。エンコード中はCPUがフル稼働するので、付属クーラーだとうるさい状態がずっと続いてしまします。
ゲームをする場合は、CPUがフル稼働しませんし、ヘッドフォンやスピーカーから音が鳴っているのであまりファンの音は気になりません。
外観はあまり気にしない
透明なケースを使わない方など、外観を気にしないなら付属クーラーもアリかもしれません。
ダサいクーラーでも見えなければOKですから。
心配なら安めのクーラーを買っておこう
「付属クーラーでは心配だけど、クーラーにそんな予算を割きたくない」という方には、コスパの良さで有名な「AK400」や「虎徹MarkⅢ」をオススメします。
私も両方とも使ったことありますが(今は虎徹を使ってます)、3,000円台なのによく冷えてくれるので大満足。AK400は現在品薄なので、虎徹MarkⅢが買いやすいですね。
こちらの記事でレビューもしています。
注意:Intelの「K」付きやAMDの「X」付きCPUはクーラーが無い
IntelのCPUで型番の一番うしろに「K」が付いているものや、AMDのCPUで「X」がついている場合は純正CPUクーラーが付属しないのでご注意を。
たとえば「Core i5 14600K」「Core i7 14700KF」「Ryzen 5 9600X」などです。型番の見方はこちらの記事を参考にしてください。
基本は付属(リテール)クーラーでOK:まとめ
今回は、CPUを買ったらついてくるリテールクーラーのメリット・デメリットをくわしく解説しました。
付属クーラーはひと昔前の爆熱CPUには役に立ちませんでしたが、今のおとなしいCPUが相手ならけっこう戦えます。
CPUクーラーは手軽に交換できるので、とりあえず付属クーラーを使ってみて不満を感じたら別売りのものに取り替えてみる、というのも良さそうですね。
自作PCを組みたいなら、こちらの記事もどうぞ!
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