もはや日常茶飯事になってしまったグラボの高騰。プレステ5と同性能のRTX3060が6~7万円もするので、ゲーミングPCが一段ととっつきにくくなってしまいました。
……と思いきや、6月に入ったころからRTX3060が5万円台になり、GeForceもRadeonも軒並み安くなっています。今が買いどきです。
ただ「安くなっている」といっても、発売された頃の価格に戻っただけ(RTX3060は当時5万円台だった)なので暴落ではないですね。
私はドヤ顔で「今年(2022年)の秋まで高騰が続く!」とか言ってましたが、嬉しい方向に予想が外れました。
※2022年4月10日追記:ここ最近グラボの価格がすこし下がっています。ざっと見た感じRTX3050が定価(39,800円)で出てたり、RTX3060が1万円近く値下がりしていました。いままで欲しくても買えなかった方はチャンスです!
※2022年4月30日追記:ついにRTX3060が5万円台まで下がってきました。
※2022年5月29日追記:RTX3070Ti以下のモデルでは発売価格より少し高い程度に落ち着いてきました。
グラボの値下がり傾向
さっき「グラボは今が買いどきだ」と言いましたが、すべてのグラボが買いどきなわけではありません。とくにGTX1650は1世代前のグラボですが、いまでも高騰する前の価格より1万円くらい値上がりしたままです。
値下がりしているのはRTX3060以上のミドル~ハイエンドなので、どうせ買うなら3060以上がおすすめです。
秋にRTX4000シリーズが発売されるけど……

秋にRTX4000シリーズが発売されるから買うのは待つべき?
今年(2022年)の秋にRTX4000シリーズが発売予定だと聞くと、3000シリーズを買うか迷ってしまいますよね。
結論は
- XX60、XX70などのミドルレンジを買いたい→RTX3000シリーズを買うべき
- XX80、XX90などのハイエンドを買いたい→RTX4000シリーズを待ってもいいかも
という感じで買いたいグラボによって変わります。
ミドルレンジなら3000シリーズを買うべきな理由は、XX60のグラボは発売が遅いからです。3000シリーズのときも、最初のRTX3080が登場してから半年後にRTX3060が発売されました。
4000シリーズも同じような順番だと考えると、RTX4060(仮)が手に入るのは4000シリーズの発売から半年後。さすがに長過ぎます。
ミドルレンジのグラボが欲しい場合は、ぜひこの機会に買っておきましょう。
グラボの高騰が続きそうなニュース
グラボの価格高騰が続きそうなニュースはこの2つです。
それぞれサラッと解説します。
TSMCが半導体を20%値上げ
去年の8月ごろ、台湾の半導体製造会社「TSMC」が半導体を20%値上げしました。AMDもNVIDIAもTSMCに半導体を作ってもらっているので、今年発売されるグラボは定価が高くなりそうです。
参考>>>台湾TSMC、半導体最大20%値上げへ 最終製品にも影響
現在最新のNVIDIA RTX3000シリーズはサムスン製チップを使っていますが、RTX4000シリーズはTSMCの5nmプロセスを使うとか。
AMDの最新グラボ「RX6000シリーズ」もTSMC製のチップなので、TSMCが値上げをするとすべてのグラボの製造コストが上がってしまいます。
参考>>>GeForce RTX 40 series with NVIDIA Lovelace GPUs again rumored to use TSMC N5 process
半導体不足の解消は2022年末ごろ
NVIDIAやIntelの発表では、半導体不足が解消するのは2022年末とのこと。
各メーカーのCEOの予想はこんな感じですね。
Pat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏:Intel CEO
少なくとも2023年までは半導体不足の影響が続く
Jensen Huang(ジェン・スン・ファン)氏:NVIDIA
サプライチェーンの問題は2022年の終わり頃までは続く
Lisa Su(リサ・スー)氏:AMD
2022年上半期はタイトだが、下半期は多少和らぐ
引用元>>>IntelのCEO、半導体不足の影響は「2023年まで続く」
IntelとNVIDIAのCEOは「2023年まで」と予測するのに対し、AMDの予測は「2022年下半期には多少マシになる」と少し楽観的です。頼む、リサさんの予測が現実になってくれ。
逆に言うと2022年中は半導体不足が続くってことです。
半導体不足が続けば需要と供給のバランスが安定しないので、半導体の価格も高止まりになりますね。必然的にグラボの価格も下がらなくなります。
グラボが値下がりしそうなニュース
グラボが値下がりしそうなニュースはこの3つです。
それぞれ解説しますね。
イーサリアムが2022年中にPoS移行
グラボでマイニングできる仮想通貨でいちばん人気なイーサリアムが、2022年中にコンセンサスアルゴリズム(取引内容を記録するアルゴリズム)をPoWからPoSに移行すると発表しています。

PoWからPoSになるとなにか変わるの?

イーサリアムをグラボでマイニングできなくなります
※ほかにも色々変わるところはありますが、私も詳しくないので割愛します
今グラボでマイニングしている人のほとんどは、イーサリアムを掘っています。イーサリアム以外にもグラボでマイニングできる仮想通貨はありますが、利益率が低いので採算が合いません。
ちなみに本日の再下落でマイニング報酬は電気代ペイしたら極わずかしか利益出ません。仮に今から始めたらグラボ償却に数年かかる。RTX3070で1日100円とかのレベル
— ぱそくま🐻 (@diypc9900) January 24, 2022
稼げるアルゴリズムのイーサリアムがPos化したら更に報酬減りますので実質償却不可能になる可能性も🙄
なのでイーサリアムがPoS移行を完了すれば、今までのようなグラボの買い占めは起こりにくくなりますね。とくに新品のグラボを買ってもグラボ代を回収するまでの時間が長すぎるので……
ただPoS移行したからといって新品グラボの相場が急に下がる確率は低いです。半導体不足がつづく限り生産量が増えないからですね……。先に中古相場が下落してくるはず。
RTX4000シリーズが今年秋に発売
NVIDIAは次世代のグラボ「RTX4000シリーズ」を今年秋に発売する予定です。AMDも2022年度の第4四半期(2023年1月~3月)に新型グラボ「RX7000シリーズ」を予定しています。
なので現行のRTX3000シリーズとRX6000シリーズは型落ちになり、(少なくとも今よりは)値下がりするでしょう。
2020年の12月にもRTX3060tiが発売されてRTX2000シリーズが投げ売り状態になっていました。
なので今のRTX3000シリーズを安く買いたい場合、RTX4000シリーズの発売まで待つというのも1つの手です。ただ2020年とは状況がぜんぜん違うので、どこまで安くなるかはわかりませんが。
低価格のRTX3050、RX6500XTが発売
2022年1月にNVIDIAから39800円の「RTX3050」、AMDから28000円の「RX6500XT」と低価格のグラボが2つも発売されました。この影響で、すでにGTX1660ti(性能はRTX3050よりちょっと上)が数千円値下がりしています。
2020年以前の相場ではとても安いとはいえませんが、今のグラボ市場では低価格なほうです。
いま買うなら狙い目のグラボ5選

今すぐグラボがほしいんだけど、お買い得なグラボってある?
GTX1650のようにコスパがいまいちなグラボもあるので、値下がりしてお買い得になっているものを5つピックアップしました。
それぞれ詳しく解説します。
RX6500XT
RX6500XTはエントリーユーザー向けのグラボです。1世代前のGTX1650と同じようなスペックですが、ゲームによっては20%以上も性能が高かったりします。
在庫も安定していて、Amazonでも定価で買える珍しいグラボです。いまから買うならGTX1650よりRX6500XTですね。
GTX1660Ti
RTX3050が発売されてから少し価格が落ちたのが1世代前の「GTX1660Ti」です。価格はRTX3050と同じくらいなのに単純な性能はRTX3050以上です。
が、RTコアとTensorコアがないのでレイトレーシングとDLSSには対応していません。なのでDLSS対応のゲームをする予定ならRTX3050がおすすめですね。
GTX1660Tiはいわゆる「型落ち」のモデルになるので、製造しているメーカーが少ないのも注意しておきたいポイントです。現行モデルのRTX3060は現在21製品のラインナップがありますが、GTX1660Tiはたったの5製品。
RTX3050と同じくらいの価格で買えればかなりお得な反面、選択肢が少ないので好みのグラボが見つかりにくいのが欠点です。
RTX3060
発売当初は「微妙な性能」「割高感がすごい」と酷評されていたRTX3060ですが、グラボが高騰してからはフルHDゲーミングの定番に。
VRAM(グラボのメモリ)が12GBと上位のRTX3070より多いので、ビデオメモリを多く使うVR用途にもおすすめです。
6万円前半で買えるRX6600XTと比べると少し価格が高く感じますが、DLSS(フレームレートの底上げ機能)が使えるのでWQHDゲーミングだと強いです。
※6/27現在ではRX6600XTとRTX3060が同じくらいの価格なので、ゲーム以外にも使うならRTX3060一択です。
RX6600XT
RX6600XTは発売直後にマイニングのために買い占められて価格が高騰していましたが、最近は5万円台前半まで落ちています。
素のゲーミング性能(DLSSなし)はRTX3060を余裕で打ち負かします。

めっちゃお得じゃん!
ただRTX3060よりVRAM帯域幅がせまいので、WQHDや4Kなどの高解像度ゲーミングには向きませんね。ちもろぐさんのベンチマークデータにも顕著に現れています。やはり画面の解像度が上がるほど性能が出にくくなるのがRX6600XTの欠点です。
さらにフレームレートを底上げするDLSSが使えないのでWQHDモニターを使っている方にはおすすめできません。
RTX3060とRX6600XTはどちらも一長一短のグラボですが、「DLSS非対応のゲームをフルHDでプレイする」という限られた状況では、RX6600XTに軍配が上がります。
RTX3070Ti
次はRTX3070Tiです。3070Tiは、なんと最安モデルが
ワンランク下の3070無印と数千円しか変わらない
というトチ狂った価格なんです。※2022年5月29日現在
価格帯はRTX3070Tiが8.5万円~に対してRTX3070無印が8万円前後~なので、数千円多く出すだけで性能がそこそこ上がります。私もこの差だと「どうせだったら3070Ti買っとくか」と思ってしまいますね。
ただ消費電力がRTX3070より70Wも多いので、電源ユニットに余裕がないと厳しいです。
中古のグラボはどう?

新品が高いなら、中古グラボを買えばいいじゃない

やめとけ!
中古のグラボを買うのは、まさに
百害あって一利なし
です。
デメリットしかありません。
マイニングで24時間使われていたグラボを買いたいですか?
唯一のメリットは安いことですが、保証の短さや壊れやすさを考えるとむしろ高価です。中古グラボは、使い捨てる用途でなければ絶対にオススメしません。
以上「【2022年3月】グラボの高騰はいつまで続く?狙い目のグラボも紹介」でした。
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