グラフィックボード(グラボ)を買ってから1年ほど使うと、「なんだかグラボがうるさいな……」と思うことがありますよね。
GPUのグリスが乾いていたりファンにホコリが溜まっていたりすると、GPUを効率よく冷やせないので温度が上がってしまいます。温度が上がるとファンの回転数が上がってしまい、騒音の原因になるんです。
なのでホコリを掃除してグリスを塗り替えるだけで、買ったばかりのグラボ並に静かになりますよ。
そこでこの記事では、グラボを分解してグリスを塗り直す方法を写真をたくさん使ってわかりやすく解説します。
分解するときの注意点
グラボを分解するときの注意点ってある?
メーカーの保証が切れるかもしれないことです
グラボを分解するには、GPUクーラーを固定しているビスを外す必要があります。このビスに封印シールが貼ってある場合は、分解するとメーカーの保証を受けられなくなってしまうんです。
私のグラボ(玄人志向 GTX1650D6-E4GB/DF2)には封印シールが貼ってありませんでしたが、貼ってあるグラボは保証期間がすぎるまで分解しないほうが無難ですね。
そもそも分解したのが原因で故障した場合は保証を受けられないので、保証期間内のグラボを分解するのはおすすめしないです。
ちなみにZotacは分解しても保証が受けられる珍しいメーカーです。
その封印シールが現時点でZOTACにはないのですよ。
— ZOTAC日本 (@ZOTAC_JAPAN) October 15, 2020
なので未来までお約束する内容ではないですが、現時点では普通に修理に出していただいて、腐食やクーラー交換時の基板へのダメージなどが確認できなければ原則通常対応になります。
GPUグリスの寿命
GPUグリスはどれくらいで塗り替えたらいいの?
グラボをどれくらいハードに使っているかによりますが、毎日ゲームで酷使しているなら半年~1年に1回グリスを交換すると快適に使えます。
私が1年使ったGTX1650はグリスがパリパリに乾いていました。
この状態ではうまく熱を逃せないので、やはり年1回はグリスを塗り替えるほうが良さそうです。
おすすめのグリス
GPU用のグリスとかあるの?
CPUに使うグリスで問題ないですよ
GPUのグリスだからといって特別なわけではないので、CPU用のグリスを塗っておけばOKです。手元に転がっているグリスがあればすぐに塗り替えられます。
電気伝導性があるタイプのグリスはGPUからはみ出すと故障するので、シリコングリス(絶縁タイプ)がオススメです。
ただGPUは発熱量が多いので、CPUクーラーを買ったらついてくる安物グリスでは少し不安ですね。私はのARCTIC「MX-4」を使いました。
電力消費が大きいミドル~ハイエンドのグラボなら、クマグリスことKryonautシリーズのほうがいいかもしれません。熱伝導率がMX-4の約1.5倍(12.5W/mk)なので冷えやすいですよ!
用意するもの
グラボのグリスを塗り替えるときに用意しておくといいものを紹介します。
エアダスター
まずはエアダスター。グラボにたまったホコリを吹き飛ばすのに使います。グリスを塗るときにホコリが入ると困りますからね……。
他のパーツやキーボードの掃除にも使えるので、とりあえず買っておいて損はありません。
プラスドライバー
GPUクーラーと基板を止めているネジは普通のドライバーで外せますが、ヒートシンクのネジを外すには精密ドライバーが必要です。
ウエットティッシュなど
もともと塗ってあるグリスを拭き取るときに活躍するのがウエットティッシュ。普通のティッシュやいらないボロ布でもいいですが、グリスが乾いている場合は湿り気があるほうが拭き取りやすいです。
GPU(グラボ)のグリスを塗り直す手順
GPUのグリスを塗り直す手順はこんな感じです。
それぞれ詳しく解説していきます。
1、グラフィックボードを取り外す
まずはPC本体からグラフィックボードを取り外します。ほとんどのグラボは補助電源がついているので、最初に外しておきましょう。
本体のフタを開けて、グラボを固定しているネジを外していきます。
PCIeスロットのツメをPCのフロント側に倒します。
あとは真上に引っ張ればグラボが外れますよ。
くわしい外し方は「【5分でできる】グラボの外し方と注意するポイントをやさしく解説」で解説しています。
2、GPUクーラーを取り外す
無事にグラボが外せたら、いよいよグラボを分解します。まずは裏にある6個のネジを外します。グラボによってはネジがもっと多いことも。
すべてのネジを外せたら、グラボの基板からGPUクーラーをはがします。
クーラーの部分と基板を持ちながらゆっくり力を加えると外れやすいですよ。
GPUクーラーのケーブルも忘れずに抜いておきましょう。
3、乾いたグリスを拭き取る
グラボの解剖が終わったら、もともとついているグリスをウエットティッシュなどで拭き取ります。
最初は大まかに拭き取って、あとからティッシュを変えてきれいにするとうまくとれますね。
ヒートシンクについているグリスも忘れずに拭き取っておきます。
灰色のかたまりはVRAM(グラボのメモリ)などから出た熱をヒートシンクに逃がすためのサーマルパッドですね。
4、(必要なら)ファンを外して掃除
ホコリがたくさんたまっているとせっかくグリスを塗り替えてもあまり温度が下がらないので、気力に余裕があればファンも掃除しておくと良いですね。
私のグラボはホコリがひどすぎたので、見た瞬間掃除を決めました(笑)
ファンを掃除するには、ヒートシンクからファンを外してしまうのが手っ取り早いです。ヒートシンク側にある4箇所のネジを外すとファンがとれますね。
ファンが外れました。どんだけ汚いねん。
いちいち拡大するなよ……
とりあえずエアダスターでホコリを落として、ファンのブレードを拭いておきます。
↑片方だけ拭いたところ。どんだけ汚れていたのかよくわかりますね。
ヒートシンクもホコリを飛ばします。
ファンとヒートシンクの掃除が終わったら、元のように組み立てておきましょう。
5、グリスを塗る
いよいよGPUにグリスを塗ります。
頑張ってきれいに広げるぞ~!
広げる必要はないです……
もちろん「ヘラできれいに塗り拡げたい!」というなら止めはしませんが。グリスをがんばって薄く広げる必要はないです。
ただGPUの上にグリスでバッテンをかいて、ヒートシンクで押し広げるだけ。
「GPUグリスは塗り広げないとダメ」という人もいますが、検証してみるとバッテンでもまったく問題ないです。
まんなかに米粒ほどのグリスをつける「センターう○こ」だと、端のほうまで広がりませんでした。
なのでセンターう○こはやめといたほうがいいですね。
グリスをGPUの上にのせたら、ファンの電源を基板に接続します。
向きに注意してGPUクーラーを基板にそっとのせます。このとき水平にのせないとグリスが均等に広がらないのでご注意を。
あとはネジ止めするだけです。対角線のネジを順番に締めていくとグリスがまんべんなく広がりますよ。
グラボの組み立てが終わったらPCに取り付けます。取り付け手順が不安な方は「【中学生でもできる】グラボの取り付け方と注意点をわかりやすく解説」をご覧ください。
グリスを塗り替えたあとのトラブル
グリスを塗り替えたあとによく起こるトラブルと解決方法を紹介します。
ゲームが突然終了する
まずグラボのファンが回っているか確認してください。回っていなければファンの電源を接続し忘れているかもしれません。
逆に温度が高くなった
グリスを塗り替えたのに温度が高くなった場合は、もういちど分解してきちんとグリスが塗れているかチェックしてみてください。
このように全体に広がっていない場合はグリスが少なすぎます。いったん拭き取ってから塗りなおすといいですね。
GPUグリスの交換手順まとめ
今回は、GPUグリスの塗りなおし手順を解説しました。
GPUグリスを自分で交換できるようになるとグラボを長く快適に使えるので、ぜひチャレンジしてみてください!