低価格帯の空冷CPUクーラーで「迷ったらコレ」と言われていた虎徹Mark2ですが、IntelとAMDのソケット変更があり現在は生産終了しています。
「最近は虎徹の名前も聞かなくなってきたな……」と思っていたところ、2023年2月15日に後継モデルの虎徹Mark3が発売されました。
そこでこの記事では、虎徹Mark3のスペックや取付方法、実際に使ってどれくらい冷えたかを紹介します。低価格帯で猛威を振るっているDeepCool社のAK400とも比較しているので、どちらを買おうか迷っている方はぜひ最後までご覧ください!
虎徹Mark3とAK400、どっちが良い?
低価格の空冷クーラーだとAK400がいいって聞くけど……
身も蓋もないですが、現状ではAK400一択です。両方買って試してみたところ、冷却能力は互角でした。
Core i5 12400Fに装着してCinebench R23のマルチコアを動かしたところ、温度の変化はこんな感じになりました。
平均温度 | 最大温度 | |
虎徹Mark3 | 49.5 | 54 |
AK400 | 48.8 | 53 |
平均値を出すとほんの少しAK400のほうが温度が低いですが、そこまで変わらないので
- デザインが好きな方を買う
- そのとき安い方を買う
- メーカーが好きだから買う
という選び方でOKです。
2023年4月4日現在はAK400のほうが安く、虎徹Mark3を買う理由はあまりありません。AK400より安くなれば購入を考えてみてもいいかも、という感じです。
虎徹Mark3の基本スペック
虎徹Mark3の基本スペックを表にまとめました。
高さ | 154mm |
ファンサイズ | 120mm |
ファン回転数 | 300(±200 rpm)~ 1500 rpm(±10%) |
対応ソケット | Intel:LGA1150 / 1151 / 1155 / 1156 / 1200 / 1700 AMD:AM4 / AM5 |
搭載ヒートパイプ | 6mm径 × 4本 |
本体重量 | 723 g(付属ファン含む) |
保証期間 | 1年 |
参考価格 | ¥3,606 |
高さはほとんどのMicroATXケースに入る154mmです。ソケットはIntel、AMDのほぼ全てに対応しているので、あまり細かいことを考えずに使えますね。
ヒートパイプは前モデルのMark2と変わらず4本。バッファプレートがついていて、ヒートパイプがCPUに直接ふれないようになっています。パイプを直接CPUに当てる「ダイレクトヒートタッチ方式」より冷えやすい構造です。
スペック表にあらわれない部分では、メモリやグラボとの干渉を防ぐためにヒートシンクが中央からずれているのも特徴的です。
付属品をチェック
虎徹Mark3の付属品はこの9個です。
虎徹Mark2と比べると、コストカットのためにIntel用のバックプレートが金属製から樹脂製に変わっています。CPUクーラーは密着させるためにかなり圧力をかけるので、強度が心配だという方も多いですね。
付属グリスはあまり性能がよろしくないので、別売りのグリスを買っておくのがおすすめです。私はいつもMX-4を使っています。
熱伝導率は8.5W/mkと高めなうえ、塗りやすくて安いので気軽に使えますよ!
虎徹Mark3の取り付け方法
では虎徹Mark3を実際に取り付けていきましょう。今回はIntelのLGA1700ソケットに装着します。
手元にAM4/AM5環境がないので、Ryzenを使っている方はこちらの取り付け動画を参考にしてください(丸投げ
※取り付け場面(4分40秒付近)から再生されます。
まずはマザーボードの裏面にバックプレートを取り付けましょう。
LGA1700なのでねじの位置を外側に変更しておきます。LGA1200や115xの場合は内側にセットしてください。(写真を撮り忘れたので下の画像はAK400のバックプレートです)
このままでは横倒しにしたときにバックプレートが落ちてしまうので、マスキングテープなどで固定します。
なに、セロハンテープに見えるって?気のせいですね。決してマスキングテープがなかったわけではありませんよ?
ケースを横倒しにして、先ほど取り付けたバックプレートのねじ部分にLGA1700用のスペーサー(黒色)をはめます。
スペーサーはこのような黒い筒状のものです。
次はマウンティングプレートをスペーサーの上に装着します。
突起部分がCPUの両側にくるように注意。
向きを確認してから、銀色のナットを使ってマウンティングプレートを固定します。
ここでCPUにグリスを塗っておきましょう。グリスの塗り方はこちらの記事で紹介しています↓
>>>センターうんこはダメ?初心者向けにCPUグリスの塗り方&拭き取り方を伝授
あとはヒートシンクをネジ止めするだけだな。簡単簡単!
保護フィルムをはがし忘れてます……
ほとんどのCPUクーラーには、CPUと接するベースプレートには保護フィルムが貼ってあります。これをはがさずに取り付けると熱がCPUクーラーに伝わらず、ぜんぜん冷えません。
ヒートシンクをマウンティングプレートの上に乗せ、横のねじ(2か所)を締めていきます。
一気に片方を締めるとグリスが均等に広がらないので、左を1回まわしたら右を1回……というように交互に締めるのがセオリーです。ある程度締めると回せなくなるので、締めすぎてマザーボードを破壊することはありません。
ファンにファンクリップを取り付けます。
吸気にする場合、ファンクリップの細くなっている方がファンの裏にくる向きにするといいですね。ファンの表と裏がわからない方は「【2秒でわかる】PCのケースファンの向きをカンタンに調べる方法」をどうぞ。
ケースの前面が吸気、背面が排気になるように吸気側にファンを取り付けます。ファンクリップが固く、かなり力を入れないとヒートシンクまで届きませんでした。
ファンのケーブルをマザーボードのCPUファンコネクタに差し込んだら終了です。
リテールクーラーと虎徹Mark3の温度比較
Core i5くらいなら付属クーラーで十分じゃないの?
ほとんどのCPUはクーラーが付属しているので、わざわざ別売りのものを買う必要があるのか疑問に思う方もいると思います。
結論からいうと、よほど予算が厳しいとき以外は別売りのクーラーを買ったほうがいいです。
たしかに付属のクーラーでも使えるんですが、冷却性能がぜんぜん違うので……。(少数ですがリテールクーラーが好きで使っている方もいます)
Core i5 12400FでCinebenchi R23のマルチコアテストを実行したときの温度です。リテールクーラーのグラフを見ると、最初は70℃以下ですが時間とともにじわじわ温度が上がっているのがわかります。これでは長時間の作業(エンコードなど)が不安ですね。
虎徹とAK400は両方安い部類(3,000円台)のクーラーですが、付属クーラーと比べると20℃くらい温度が下がってます。
Ryzenは特に温度が高いとクロック数が伸びないので、「冷やすほど性能が上がる」といわれるほどです。Intelも温度が高すぎると電力制限がかかって性能を発揮できません。
付属クーラーは騒音もひどいですし……
まとめ:価格によっては買う価値あり
今回は低価格空冷CPUクーラー「虎徹Mark3」の取付方法や冷却性能を紹介しました。
価格が逆転すれば虎徹を買う理由ができますが、いまのところはAK400が強すぎますね。バックプレートが樹脂化されたわりに、AK400と比べて明確な強みがないのが残念なところです。
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